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臨床工学技士を支援する議員連盟
概 要
2018年5月、「臨床工学技士の資質向上を求める議員連盟」として設立総会を開催し、事務局長を拝命。議論を重ね、2020年6月には初めて加藤勝信厚生労働大臣(当時)へ要望申し入れ。要望書には、医療機関の医療機器管理部門を取りまとめる責任者として臨床工学技士を置くこと、医師の働き方改革に伴う臨床工学技士へのタスク・シフト/シェアの推進などが盛り込まれている。こうした活動が実り、2021年5月にはタスクシフト/シェアに係る法改正が実現。6月に第3回総会を開催し、「臨床工学技士を支援する議員連盟」と改称し、新たなスタートを切る。
近年、医療機器は目覚ましい進歩を遂げています。特に、人工呼吸器、人工透析装置等の呼吸、循環の機能を代替又は補助するために使用される生命維持管理装置は、現代医療の重要な一翼を担っています。
臨床工学技士とは、「医療機器のスペシャリスト」とも呼ばれ、医療機器の専門職です。高度化・複雑化する手術、集中治療、透析、高気圧酸素治療、カテーテル治療といったさまざまな治療分野で、生命維持管理装置の操作を担い、その安全な運用を確保するために保守・点検・管理を行う高度医療に不可欠な職種です。
例えば、一時的に心臓を停止して行う手術のときには、心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置や、人工呼吸器を操作するといった、医療の最前線で命をつなぐことに関わります。
今般の新型コロナウイルス感染症の流行で、人工呼吸器やエクモ(体外で血液を循環させる遠心ポンプと、血液中の二酸化炭素を除去し酸素を与える人工肺を組み合わせた装置)の操作で臨床工学技士が大活躍をしたことは、みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症への対応で、政府の会議でも稼働しているエクモの数の集計や、人工呼吸器などの物品の整備にも臨床工学技士の活躍には目覚ましいものがありました。
アメリカ、カナダなどの諸外国に続き、日本でも1987年には資格法制化により国家資格として、現在、2万人以上が医療機関等で勤務しています。医療機器の高度化・複雑化が著しい現代、医学と工学の知識を併せ持つ臨床工学技士が担う役割は、大きくなる一方です。
しかしながら、臨床工学技士養成を行う国立大学はなく、教育内容も1999年以降大きな見直しが行われていないこと。さらに医療機関で臨床工学技士が行うべき業務において、臨床工学技士を活用するための経済的インセンティブも不十分であり、例えば人事院勧告において定められている「級別標準職務表」に臨床工学技士が記載されていないといった、さまざまな問題が指摘されていました。
高度化する医療現場で臨床工学技士に対する大きな国民のニーズに応えるためにも、それに対応する専門知識及び技能を習得した臨床工学技士が育成されていくことが極めて重要であり、“臨床工学技士の資質向上”を達成するため、2018年5月に本議員連盟が設立され、野田毅会長の元、私は事務局長を拝命しました。
これまで、2回の総会と3回の役員会を開催し、議論を重ね、2020年6月には初めて加藤勝信厚生労働大臣(当時)への要望申し入れを行いました。要望書には、医療機関の医療機器管理部門を取りまとめる責任者として臨床工学技士を置くこと、医師の働き方改革に伴う臨床工学技士へのタスク・シフト/シェアの推進などが盛り込まれています。
タスク・シフト/シェアについては、2020年12月の厚生労働省「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」とりまとめにも書き込まれ、2021年5月の臨床工学技士法改正が実現しました。
2021年6月に開催した第3回総会では議連の名称を「臨床工学技士を支援する議員連盟」に改め、厚生労働省から臨床工学技士法改正の説明の他、済生会宇都宮病院栃木県救命救急センター所長・特定非営利法事 日本ECMOnet 理事小倉崇以先生に「臨床工学技士の役割と評価について~ICU等における新型コロナウイルス感染症重症対応にあたって~」と題しご講演いただき、診療報酬上の新たな評価などについて議題としました。
その後、令和4年度診療報酬改定では、ICUや、ECMO等を装着した重症患者の搬送に関して、臨床工学技士の配置加算が実現しました。
2021年12月には第4回総会を開催し、加藤勝信新会長の下で新たなスタートを切りました。
医療の世界では欠かせない存在で、未来の医療を担う臨床工学技士の活躍を、引き続き全力で応援してまいります。
関連資料
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臨床工学技士の資質向上を求める議員連盟.pdf