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女性医療従事者がより働きやすい環境づくり
概 要
「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」を設立、事務局長を拝命。2017年12月に加藤勝信厚生労働大臣(当時)へ、2018年10月に根本匠厚生労働大臣(当時)、柴山昌彦文部科学大臣(当時)に決議文を提出。本議連活動を通して、診療報酬上、女性医師の割合が多い小児科・産婦人科・精神科・などの領域において一定の要件を満たせば、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算が可能に。
医療従事者は、我が国にあるさまざまな業種の中でも、女性の比率が75%と最も女性が多い業種です。厚生労働省の発表によると、全医師に占める女性医師の割合は、約2割ではあるものの、近年は医学部入学者の女性割合が4割弱を占めるなど将来的には女性医師の増加が見込まれます。保健師、看護師、准看護師は女性が9割、介護職員も7割が女性といわれています。医療分野における女性の活躍はますます広がっているといえます。
政府では、2015年8月の「女性活躍推進法」成立や、働き方改革の推進などが行われ、女性が働きながら家庭との両立を目指すワークライフバランスなどの重要性が政策として語られる機会が増えてきました。
「エンパワメント(empowerment)」とは、権限を移譲することで、個人個人のパフォーマンスを最大限に引き出し、自分で判断や行動ができるための環境づくりのことを指します。
2016年4月に、女性が働きやすい環境づくりを企業に求める「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」が施行されました。SDGsの観点から見ても、我が国は教育水準の高さに比して医療福祉分野以外での女性の社会経済活動がいまだ十分な段階に達していないとされています。
女性医師として医療現場にいた私自身の実体験からも、医療現場での「女性活躍推進」が十分ではないと感じていました。男性が多い医師の世界でも、女性の割合が増加傾向にあり、全医師の約2割に達します。とりわけ、若い世代では増加傾向が著しく、医学部入学者に占める女性の割合は3割を超えており、医師の4割~5割が女性を占める日も、そう遠い未来の話ではありません。地域医療を担う女性の活躍を推進することは、少子高齢化により生産年齢人口が減少する中で、国民の命と健康を守るためにも大切なことです。
2017年1月には、生涯に渡る就業モデルとなり得る女性医療職への効果的な「エンパワメント推進」を主なテーマとした本議員連盟を設立。野田聖子衆議院議員を会長に、私は事務局長を拝命致しました。妊娠、出産、子育てなど各ライフイベント、ライフステージにあっても、専門職として医療に従事できる環境作りの議論を行っています。
議員連盟設立後、「日本医師会」「日本歯科医師会」「日本薬剤師会」「日本看護協会」「日本助産師会」「日本獣医師会」「日本社会保険労務士連合会」など、各種団体や関係省庁からのヒアリングを重ね、2017年12月、加藤勝信厚生労働大臣(当時)へ決議文を提出しました。決議文の主な内容は、「全ての医療従事者を対象とした勤務環境改善の取組について、診療報酬を含め財政的な支援」「院内保育・病児保育への診療報酬を含めた支援」などになります。
決議文提出後も、女性医療職が活躍しやすい環境整備に取り組んでいましたが、その最中の2018年に発覚したのが、東京医科大学の医学部入試における女性受験生の合格者数制限の問題です。医療現場は、女性が活躍しにくい環境という理由のもと、女性医師の人数を制限するというのは入り口と出口をはき違えた議論であり、女性が活躍できる環境の整備こそが真に求められていることです。
本議員連盟として看過できない問題として緊急的に総会を開催し、2018年10月、根本匠厚生労働大臣(当時)、柴山昌彦文部科学大臣(当時)に、女性医療職が公正に活躍できる入試・医療現場での環境確保に向けた決議文を提出しました。その結果、2019年6月、「大学入学者選抜実施要項」が改定され、医学部を含む全学部の入試で性別や年齢による差別禁止が明記されました。
また、本議連活動の成果として、診療報酬上、「小児科」「産婦人科」「精神科」「リハビリテーション科」「麻酔科」等の領域において、一定の要件を満たせば複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算が可能。さらに「地域医療介護総合確保基金」の中に院内保育の設置・運営補助が追加されました。また、診療報酬上、総合入院体制加算の算定要件のひとつに院内保育が追加になりました。
2019年度における医学部へ入学生する女性割合は、前年の34.7%から37.2%に増加しました。2021年4月入試では、医学部医学科において男性合格率を女性合格率が上回りました。
女性が働きやすい環境を作り、これからも益々大きな役割を担っていく女性医療職の活躍を全力で応援してまいります。
関連資料
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超党派・女性医療職エンパワメント推進議員連盟.pdf