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救急医療体制をより円滑にする体制づくり
概 要
2017年6月に「救急医療に関する議員勉強会」を立ち上げ。地域規模に呼応した救急医療の課題を抽出し、議論を重ねた結果を2017年12月と2019年6月に厚生労働大臣へ政策提案として提出。
総務省が発表した「令和元年中の救急出動件数等(速報値)」によると、救急車の出動件数は年々増加傾向にあり、2019年には年間663万件を超え、過去最多を更新し続けています。搬送人員も597万人を超え、特に、高齢者の救急搬送が約358万人と全体の6割近くを占めていて、今後更なる増加が見込まれています。
また、救急搬送人員の約半数である約286万人が、診療の結果として外来診療のみで帰宅可能な軽症患者であり、一部には不要不急の救急要請の場合も散見されます。
このようなことから、医師を始めとする現場の救急医療従事者の負担が増大しているため、地域における質の高い救急医療を確保しつつ、従事者の負担を軽減する取り組みや、国民のより適切な救急要請及び受診行動が求められています。
これらの課題に対して早期に実効性のある対策を取る必要があると考え、私たちは2017年6月に「救急医療に関する議員勉強会」を立ち上げました。
この勉強会では大都市、政令指定都市、中核都市、過疎化が進む地域、それぞれの救急医療を担う有識者のみなさんから7回にわたるヒアリングなどを行い、勉強会を開催しました。
それぞれの地域規模に呼応した救急医療の課題を抽出し、議論を重ねた結果、上記全ての地域区分における共通の解決策としては、以下の3点が必要であることが確認され、2017年12月と2019年6月に厚生労働大臣へ政策提案として提出いたしました。
(1)「地域内における多機関連携の推進」
地域における、救急医療機関、かかりつけ医、地区医師会や介護施設などの関係機関が連携・協議する体制を通じ、患者様の病状に沿ったきめ細やかな救急医療が提供されるよう、必要な措置を講じること。高度な救急医療を提供する三次救急医療を担う救命救急センターについて、地域の関係機関との連携や地域への貢献に係る評価を行い、さらなる質の向上につなげること。
(2)「消防救急車の適正な利用促進」
消防救急車の適正な利用の促進による救急医療関係者の負担軽減に加え、住民が適切なタイミングで医療機関を受診できるよう支援するため、「救急安心センター事業(#7119)」の全国展開を進めていくこと。
(3)「働き方改革における救急医等の負担軽減」
診療報酬を含めた支援などを行うことにより、交代勤務制・複数主治医制の推進、院内保育・病児保育の充実を図るなど、救急医をはじめとする医療機関関係者の働き方改革を推進し、その負担軽減を進めること。先進的な事例として自治体事業によって行われている病院救急車を活用した搬送体制の確立や、一部の都市において検討されている民間救急による代替搬送手段に係るガイドラインの策定など、全国の好事例をモデル例として検証。消防救急車の適正な利用及び代替搬送手段の活用促進を行うこと。
救急救命士へのタスクシフト/シェアは、「医師の働き方改革」の一環として法改正の流れができ、2021年5月21日、ついに救急救命士法の改正が実現しました。また、大阪におけるORIONなど消防と医療とのデータ連係による搬送困難事例を減らす取り組みなども進んでいます。
急な病気やケガをしたときに救急車を呼んだほうがいいのか、すぐに病院に行ったほうがいいのかなど、専門家から電話でアドバイスを受けることができる「救急安心センター事業(#7119)」。まだ全国で17地域にしか普及しておらず、地域の限られた医療資源である救急車を有効に活用できる重要な役割を担っています。
前例のない少子高齢化、地方部における過疎化が進む中で、国民の安全・安心の基盤である救急医療を支え、早急に実効性のある議論と対策を進めるべく、引き続き尽力して参ります。
関連資料
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policy_slide_kyuukyuu.pdf