2023年3月29日(水)
難聴対策推進議員連盟第17回総会
会長 上川陽子
前回2023年3月3日(火)開催の第16回総会にて取りまとめた「新生児聴覚検査の全額公費負担等に関する要望(案)」を”Japan Hearing Vision”提言に則り、より幅広く難聴児支援に対する要望を追加した要望書案について審議し、上川陽子会長の一任で承認されました。今後、厚生労働省・文部科学省内閣府へ要望の申し入れをする予定です。
また、今回は高齢者難聴にも焦点を置き、3つの自治体より高齢者難聴対策の好事例を紹介いただきました。
①山形市「聴こえくっきり事業」
講師:山形市長 佐藤孝弘
山形市、山形大学医学部、山形市医師会、山形県言語聴覚士会、日本補聴器販売店協会、ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社の医・産・学・官が連携。
購入費の2分の1の補聴器購入費補助だけでなく、普及啓発、アプリや言語聴覚士による難聴の早期発見、補聴器相談医や認定補聴器専門店による補聴器使用のフォローアップ、データ分析までの一連の事業をパッケージ化している。
②東京都港区「補聴器助成 港区モデル」
講師:港区議会議員 小倉りえこ
東京都港区保健福祉支援部長 湯川康生
高齢者難聴の早期発見と、補聴器相談医や認定補聴器技能者と連携して補聴器の購入前の相談からアフターケアまでを支援する制度。60歳以上を対象に所得制限なしの支援。補聴器購入額の全額を助成(上限137,000円)、住民税課税者でも半額助成(上限68,500円)を行っている。また認定補聴器技能者資格を有する店舗での購入を助成対象要件とすることで、購入後のフォローアップも行っている。早期発見のための“聴こえのセルフチェック“も配布している。
③新潟県「新潟プロジェクト」
講師:大滝耳鼻科クリニック 院長 大滝一
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会補聴器適正普及ワーキンググループ 委員
認知症予防のため、補聴器購入費用助成を自治体にお願いする活動として県内の耳鼻咽喉科の医師が立ち上げたプロジェクト。新潟県や県内市町村の庁舎を地元の耳鼻科医と共に足しげく訪問した結果、県内全市町村で助成実施となった。内、22市町では18歳以上の全ての難聴者が対象である他、医師が認めた場合は聴力基準外でも助成可能。また研究調査費が予算化された。
さらに厚生労働省老健局より、令和5年度老人保健健康増進等事業の一つである「難聴高齢者の早期発見・早期介入に向けた関係者の連携に関する調査研究事業」についての説明がありました。認知症対策として、通いの場など高齢者が集まる場や外出機会が少ない高齢者が受診する医療機関等において難聴のリスクがある高齢者を抽出し、耳鼻咽喉科の受診や補聴器の使用など適切な介入に繋げるモデル事業を実施した上で、有識者委員会による評価や報告書とりまとめを順次行う予定です。