6月17日、通常国会が閉会しました。1月20日の召集から150日間、コロナ対策が最大の焦点となりました。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」対応や、緊急事態宣言の発出など異例ずくめの国会となりました。 水際対策、国内での感染拡大防止策、逼迫する保健所や医療機関の支援、情報の一元的な把握、女性・子どもを守る取り組みなど山積する課題を前に、厚生労働大臣政務官としての国会対応も多岐に亘りました。厚生労働委員会はもとより、経済産業委員会、財務金融委員会、総務委員会、法務委員会、国土交通委員会、環境委員会など衆参両院の様々な委員会でコロナ関連の質問が相次ぎ、答弁に立ちました。 医療提供体制を守る取り組みも、最重要課題の一つとして尽力致しました。新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない医療機関においても、感染防止対策のための資材や人件費の増加、受診控えなどで大変厳しい経営状態となっており、また新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院においても、手術や外来、新規入院など通常の医療行為を停止するなど大きな減収を余儀なくされております。安定的な医療提供体制を損ない、新型コロナウイルス感染症の再流行はもとより、通常の疾患の治療にも支障が生じるようなことは、あってはならないことです。新しい生活様式のもとで医療を再開していただけるよう、各種健診やワクチン接種についても適切な感染防止策を講じた上で実施するよう厚生労働省から事務連絡を発出していますが、まだまだ支援の取り組みが必要です。 新型コロナウイルス感染症対策において女性や妊婦、子どもを守る取り組みについても、自民党女性局(局長:三原じゅん子参議院議員)をはじめ、与野党からの声を受けて取り組みました。外出自粛や自宅待機、学校の一斉休校によるDVや児童虐待の悪化を懸念して相談窓口の充実を進めたほか、妊婦さんが安心して仕事を休めるように男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置に新型コロナウイルス感染症に関する措置を新たに規定しました。これは、厚生労働省のホームページなどでダウンロードできる「母性健康管理指導事項連絡カード」を産婦人科医や助産師に提示し、感染する恐れがあることを理由に休業したい旨を記入して頂き、それを事業主に提出すれば、事業主は義務として休みを与えなければならないというもので、従わない場合は行政指導の対象となる非常に強い措置です。加えて、妊娠中の女性労働者等に配慮した各企業での取り組みが促進されるよう、厚生労働大臣政務官として日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本労働組合総連合会に協力要請を行いました。 激動の国会でしたが、本予算、補正予算、第2次補正予算の成立をはじめ、厚生労働省から提出した5つの法案も全て成立させることができました。皆様のご理解とご支援に改めて深く感謝申し上げます。特に、第2次補正予算では医療従事者への慰労金や、医療機関・薬局等での感染拡大防止費用の補助のほか、持続化給付金や家賃支援給付金など医療機関・医療従事者を強力に支援する措置を多数盛り込むことができました。第2次補正予算では10兆円の予備費も計上されています。必要な所に予算が行き渡るよう努めて参ります。コロナ対応の最前線である医療現場に一日も早く届くよう、迅速な執行に努めます。
医療機関に関する情報管理の一元化と、保健所支援についても新システムを立ち上げ、強力に進めました。厚生労働省と内閣官房IT室の連携により、全国の医療機関(約8000病院)から病院の稼働状況、病床やスタッフの状況、医療機器・資材の確保状況等を一元的に把握して支援につなげる「新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム」(G-MIS)により、迅速な入院調整、医療機器・資材の配布支援等が可能になりました。また、保健所と医療機関が電話等で報告・照会を行うなどの負担軽減にもなっています。G-MISは、一般の国民も公開情報とされている部分は閲覧可能で、自分が住む地域の病院の稼働状況を知ることができ、不安解消にもつながります。さらに「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」(HER-SYS)も立ち上げ、患者さん本人や医療機関、保健所等が入力した情報(PCR検査件数、陽性件数、入退院患者数、重傷者数、宿泊施設の数、健康状態など)を迅速に集計し、国や都道府県でも情報共有が可能になりました。
局地的なクラスター発生への迅速な対応にも努めています。厚生労働省ではクラスターが発生した地域にはコロナ対策本部のクラスター班を派遣して現地での感染状況や必要な支援について迅速な情報収集に努めております。6月5日~7日、クラスター班を派遣している福岡県北九州市を視察しました(派遣は6月2日から)。北九州市保健所では職員の皆様が献身的に業務に当たっている現場を視察させて頂きました。保健所の業務には、➀感染情報の収集・管理や関係機関との調整などマネジメント、②コールセンターや帰国者・接触者相談センターなどの相談対応、③行政PCR検査の実施と検体搬送、④検査で陽性だった方への入院調整等、⑤積極的疫学調査等、⑥濃厚接触者や自宅療養患者の健康観察、病状把握等、⑦マスコミ対応等、多岐に亘ります。予算、マンパワー、HER-SYSなどのICT活用等、あらゆる政策を尽くして現場を支えなければいけないという思いを一層強くいたしました。
これからも地域の感染対策に資するように頑張ります。
【参考資料】 令和2年度厚生労働省第二次補正予算の概要