2019年4月23日、第198回通常国会、参議院厚生労働員会(社会保障及び労働問題等に関する)で質問させていただきました。「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」について、今後二度と優生思想にもとづく法律の制定や行政としての取り組ないよう、根本匠厚生労働大臣に法案提出の決意を伺ったほか、請求者の方への速やかな対応や相談支援の在り方等について質問致しました。
詳しくは下記動画、議事録をご覧下さい。
【動画】
【議事録(ハイライト抜粋)】*議事録(自見はなこ分 全体抜粋)はこちら
○自見はなこ君 自民党の自見はなこです。本日の質問の機会を誠にありがとうございます。
この度、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金給付等に関する法律案が、今国会で議員立法として委員長提案という形で提出をされることになりました。約一年間、超党派議連の法律策定PTに参加させていただきましたが、この間は、立法府に身を置く者の一人としてその責任の重たさを痛感し、耐え難い苦痛を受けた方々が特に高齢であることから、一刻も早く法案を提出したいと思う日々でもありました。
法案を作った、法律を作った立法府、立法府に基づいてそれを施行してきた行政、そして関係者、我々は、それぞれの立場において、深く反省し、心からのおわびを申し上げたいと思います。二度とこのようなことが繰り返されてはなりません。
昭和二十三年から平成八年に母体保護法に改正されるまで全会一致の議員立法として成立をし、存在をしてきた旧優生保護法の下で、優生思想に基づく強制不妊手術が法律によって定められ、そして行われてまいりました。旧優生保護法の第一章第一条の法の目的には、この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とするとあります。多くの方々が、生殖を不能にする手術、放射線の照射を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を長年にわたり受けてこられました。
旧法から二十年を経て、二〇一八年一月、旧優生保護法の下で行われた強制不妊手術に対する国家賠償請求訴訟が仙台地裁に提訴され、昨年一月の提訴の後、昨年三月に優生保護法下における強制不妊手術を考える議員連盟が、尾辻秀久先生を会長、福島みずほ先生を事務局長として、超党派で立ち上げられました。そして、昨年五月からは、与党には、与党旧優生保護法に関するワーキングチームが田村憲久座長の下に立ち上げられ、同時に超党派議連の中でも法案策定プロジェクトチームが結成され、私も超党派議連の中の法案策定プロジェクトチームのメンバーとして約一年間議論に参画をさせていただきました。被害に遭われた方々が非常に御高齢であるということも考慮し、超党派で寸暇を惜しんで議論が綿密に行われました。
超党派の議連は、この後、福島みずほ先生からも詳細な御説明があると思いますが、九回、そして法案作成のプロジェクトチームも九回、そして勉強会も幾度も行われました。そして、その中で、被害に遭われた方々や様々な団体や関係の皆様にもお話を伺い、また、同時並行し、厚生労働省や全国の自治体にも実態調査を依頼し、取りまとめに至ったものでございます。
厚生労働省が行った調査の結果では、旧優生保護法が施行されていた間の手術の実施件数は、統計上で、全体で約二万五千件であると言われています。本人の同意を要しない旧法四条と旧法十二条に基づくものが約一万六千五百件、本人の同意に基づく旧法三条に基づくものが約八千五百件とされております。
当時は、都道府県に設置された優生保護審査会で審査を行い決定されたとされていますが、議連総会あるいは議連で主催をした勉強会の中で、その審査会を経たかなどの経過が明らかでないものや、また、いわゆる本人同意についても、同意せざるを得ないような状況に追い込まれての同意だった方のお話も伺ったり、手記も拝見、拝読させていただきました。
加えて、旧優生保護法で定められた対象疾患や術式によらずとも、法案を背景として手術を受けられた方々がおられることも分かりました。
今回の法案では、広く対象としたいということで、本人の同意を基に行われた不妊手術や、あるいは定められていた術式や疾患によらずとも対象にしようということになりました。一時金は、様々な御意見があるということは現在も承知してございますが、国際的な事例であるスウェーデンの強制不妊手術の補償金を一つの参考として、物価などを総合的に加味した上で、一律三百二十万円といたしました。
また、法案には、調査等を第四に定めました。二度と繰り返さないように、共生社会実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査とその他の措置を実施するとしています。法律を作った立法府、立法に基づいてそれを執行してきた行政、そして関係者、我々は、それぞれの立場において、なぜこのようなことが起こったのか、またそれを履行し続けてきたのか、深い反省とともに、これからも向き合っていかなければなりません。
一問目、根本厚生労働大臣にお尋ねをいたします。
今回の法律については、議員立法として、旧優生保護法の優生思想の反省の下に、超党派議連としても取り組んでまいりました。その中で、我々という主語で、特に制定した国会と執行した政府と関係者を念頭に反省とおわびを示しております。二度と今後、このような優生思想に基づく法律の制定や行政としての取組があってはなりません。
このことに関しまして、厚生労働大臣としてのお考えと、今後に向けた厚生労働省をつかさどる行政の長としての決意を伺いたく存じます。
○国務大臣(根本匠君) 衆議院厚生労働委員会における法案の趣旨説明の中で、今もお話がありましたが、委員長から、「我々は、それぞれの立場において、」とあるのは、旧優生保護法を制定した国会や執行した政府を特に念頭に置くものであるとの御発言がありました。この点について、旧優生保護法は旧厚生省が執行していたものであり、厚生労働大臣として真摯に受け止めたいと考えております。
また、法案前文において、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて努力を尽くす決意が述べられていると承知しております。
厚生労働大臣としても、このような事態を二度と繰り返さないためには、何よりも共生社会の実現が重要と強く考えております。関係省庁とも連携の上、その実現に向けて最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えています。